ロレム・イプサム・テキスト

ロレム・イプサムは、デザイナー、タイポグラファー、出版者がレイアウトを作成する際に使用するプレースホルダーテキストの一種です。実際のコンテンツではなく、自然に見えるテキストブロックを作成するために並べ替えられたラテン語の単語のセットです。デザイナーは、最終的にテキストが入るスペースを埋めるためにロレム・イプサムを使用します。その主な目的は、ウェブサイト、雑誌、パンフレット、その他のコンテンツのデザイン全体のレイアウトにテキストがどのように収まるかを示すことです。

実際のコンテンツが利用可能になる前にデザインやテンプレートを見ると、しばしばロレム・イプサムのブロックが実際の文章の代わりに配置されています。これにより、レイアウト、フォントの選択、スペーシングなどの視覚的要素に集中し、実際の言葉に気を取られることがなくなります。ロレム・イプサムは読者にとって意味を成さないため、デザインがテキストの内容ではなく見た目によって評価されることを保証します。

ロレム・イプサムには驚くほど長い歴史があります。有名なローマの哲学者で弁論家であったキケロが書いた古典ラテン文学の一部に由来します。紀元前45年頃、キケロは「デ・フィニブス・ボノルム・エト・マロルム」（善と悪の目的について）という本を書きました。この本でキケロは倫理と哲学について論じています。この作品の一部のテキストが抽出され、並べ替えられ、時間とともに修正され、現在のロレム・イプサムが生まれました。

ロレム・イプサムの単語は実際のテキストから来ていますが、何世紀にもわたってそれらは変更され、再配置され、もはや意味のある文章を形成していません。この変形の目的は、意味のある言語で視聴者を気を散らすことなく、読めるコンテンツのようにテキストを視覚的に見せることでした。

1500年代には、ロレム・イプサムは組版や印刷で使用され始めました。印刷業者は、意味のあるコンテンツを使用せずに、異なるフォントやレイアウトオプションを示す方法を必要としていました。印刷技術が進化するにつれて、観客の注意を引かないプレースホルダーテキストの必要性も高まりました。ロレム・イプサムは、英語のリズムや構造に非常に近いため、人気のある選択肢となりました。

しかし、ロレム・イプサムが広く普及したのは1960年代になってからです。当時、レトラセットという組版会社がプロモーション資料にロレム・イプサムの文章を含めました。この会社は異なるフォントを紹介するためにそれを使用し、すぐに他のデザイナーや組版業者もそれに倣いました。20世紀後半にデジタルデザインが台頭すると、ロレム・イプサムはウェブデザインの世界で新たな命を得ました。1980年代と1990年代のデスクトップ出版の台頭とともに、ロレム・イプサムはアマチュアおよびプロのデザイナーの間で標準的なプレースホルダーテキストとなりました。